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権利証を紛失したらどうなる?
                  掲載日:平成29年10月3日 最終更新日:平成30年5月23日

権利証(権利書)を紛失してしまったという方、結構いらっしゃいます。

(いきなり余談ですが、「権利証」でも「権利書」でもどちらでも構いません。執筆者は「権利証」派です。)

では権利証を紛失してしまった場合どうなってしまうのでしょうか。

 

結論から言うと、権利証を紛失したとしてもそれ自体は大した問題ではありません。

 

その理由を説明させていただく前に、そもそもどういった時に権利証を使うのかを今一度確認しておきましょう。

権利証は、不動産を売買したり贈与した場合に、新しい登記名義人(買主や受贈者)に名義変更(所有権移転登記)する際に必要となってきます。

また、不動産を担保に金融機関から融資を受ける場合、不動産に抵当権を設定する登記を行いますが、その際にも権利証が必要となります。

これ以外に権利証を使用するケースはほとんどありません。

 

では理由に移ります。

権利証を紛失してしまうと、登記名義人以外から虚偽の登記申請がなされてしまう可能性が出てくるわけですが、上記の登記申請を行う際には、権利証のほかに、登記名義人の印鑑証明書が必要です。

印鑑証明書が必要ということは、当然実印も必要になってきます。

自らで登記申請を行う場合は申請書に、登記申請を司法書士に委任する場合は委任状に実印を押さなければなりません。

ですので、権利証を紛失したとしても、虚偽の登記申請がされ、名義が書き換えられてしまうなどといった可能性はほとんどありません。

 

それに、権利証を紛失しているからといって登記手続ができなくなるわけではありません。

詳細は後述しますが、権利証を紛失した場合に備えて、代わりの措置がきちんと用意されてあります。

 

これが、大した問題ではないという理由です。

 

ちなみに、権利証は再発行することはできません。

ですので、一度権利証を紛失すると、後述する代替措置を必ず取っていただかなければならなくなります。

権利証を紛失している場合の代替措置

以下からは、司法書士に登記手続を依頼することを前提に話を進めていきます。
 

権利証を紛失した場合には、権利証に代わる手続きを取っていただくことになります。

主に以下の二つです。

本人確認情報の作成

本人確認情報とは、簡単に言えば、権利証を紛失した人がその人本人で間違いないですよという旨を記載した、司法書士が作成する書類です。

本人確認情報に記載しなければならない事項は法律で詳細に定められており、それに従い司法書士はまず本人と面談をし、本人であるという確証を得られれば、本人確認情報を作成し、権利証の代わりに法務局に提出します。

ただ、本人確認情報の作成は司法書士にとって非常にリスキーで、本人確認情報に虚偽の情報を記載すると、司法書士に二年以下の懲役又は50万円以下の罰金が処せられます。

よく確認せずに本人確認情報を作成すると、虚偽の情報を記載してしまい、刑事罰を受けることになりかねません。

よって、司法書士が本人確認情報を作成しなければならないときには、費用(報酬)が発生します。

その額は司法書士によってまちまちです。

事前通知

本人確認情報の作成のほかにも、事前通知という制度があります。

権利証が添付されていない登記申請がなされると、法務局から権利証を紛失した人に対し、登記の申請があったこととその登記が真実であるという時は一定の期間内に法務局にその旨申し出なさいという内容の通知がなされます。

申出がなされて初めて、法務局は登記の手続きを進めていくことになります。

事前通知の場合は、特別費用が発生することはありません。

代替措置と実務

以上、二つの代替措置を簡単に説明させていただきましたが、実際には、本人確認情報を作成することがほとんどで、事前通知が利用されることは稀です。

皆様から見れば、費用のかからない事前通知のほうがいいに決まっているのは重々承知ですが、事前通知があまり利用されていないのには理由があります。

これからその理由を説明させていただきますが、少し難しいうえに長くなります。

事前通知はほとんど利用されていないことさえわかっておけばいいという方は、次の見出しまで読み飛ばしていただいて構いません。

 

 

権利証を使うケースの中で多くを占めているのが、不動産の売買です。

不動産の売買においては、買主から売主への代金の支払いと引き換えに、売主から買主に不動産の所有権が移転するという内容の契約をすることがほとんどです。

しかし、ただ代金を支払って所有権を取得すればいいというわけではなく、登記手続をしておく必要があります。

民法の条文を見てみましょう。

 民法第177条

  不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定め   るところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。(一部省略)

要するに、登記をしておかないと、不動産の所有権を取得したことを第三者に主張できないのです。

 

そこで、不動産の売買の決済においては、買主や売主、不動産業者や司法書士などの関係者が金融機関などで一堂に会し、まず司法書士が登記に必要な書類をすべて揃える作業をします。

売主や買主にあらかじめ用意してもらっていた書類(印鑑証明書や住民票など)の確認や、印鑑を押してもらわなければならない書類があるので、印鑑をもらったりします。

そして、必要な書類がすべて揃い、登記手続ができる状態になったら、司法書士が代金の支払いをして構いませんという旨の宣言をします。

その後、代金の支払いや、固定資産税の清算などお金に関するすべての手続きが行われ、終わったらその場は解散となり、司法書士は法務局に向かい、登記申請を行います。

 

これが不動産の売買の通常の流れになるのですが、もし売主が権利証を紛失している場合に、事前通知の手続きを取ろうとすると大きな不都合が生じてしまいます。

 

決済の場においては、確実に登記手続ができるという状況になければ、司法書士は代金の支払いをして構いませんという旨の宣言ができません。

事前通知の場合、登記申請をした後に法務局から通知がされ、その通知に対して申出をしない限り、登記はされないので事前通知の手続きを取るとなると、決済の場での時点では、確実に登記手続ができるという状況にはならないのです。

売主が法務局への申出を失念する可能性もあります。

もし申出期間を過ぎると、登記申請は却下されてしまいます。

これでは、司法書士としては安心してGOサインを出せませんし、買主としても代金は支払って所有権は取得したものの登記がなされていないという危険な状況に陥ってしまうのです。

 

一方、本人確認情報の作成の場合は、決済の場で司法書士が売主と面談し、本人に間違いないという心証を得れば、権利証の代わりに本人確認情報を提出すればいいだけなので、何ら不都合は生じません。

 

よって、不動産の売買においては、本人確認情報の作成が選択されます。

事前通知が利用されることはまずありません。

 

不動産を担保に金融機関から融資を受け、不動産に抵当権を設定する登記を行うときも同様です。

抵当権も、登記をしなければ第三者に主張することができません。

なので、確実に抵当権の登記ができる状態にならなければ、金融機関は融資の実行をしてくれません。

この場合も、事前通知が利用されることはまずありません。

 

 

結局、お金が絡んでくる場合には事前通知は利用できないという認識でよろしいかと思います。

贈与によって所有権移転登記をする場合には、事前通知が利用されることもあります。

権利証は大切に保管を

権利証を紛失したとしても、そこまで不安がることはありません。

ただ、大抵の場合に余計な費用がかかってしまうということは頭に入れておいてください。

 

冒頭で、権利証を紛失することは大した問題ではないと申し上げてしまいましたが、紛失しないに越したことはありません。

 

権利証は大切に保管されておくようにしてください。

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